額縁への関心高まる20世紀後半
現存する古い額縁が所蔵されている場所といえば、個人コレクターを除けばやはり世界各国の美術館と言っていいかもしれません。
なかでも1970年代後半時点で公表されているところでは、所蔵している額縁を洗い出し目録としてまとめていたのが、米国のメトロポリタン美術館とボストン美術館。
さらにロンドンのナショナル・ギャラリーでも当時すでに目録作成中と言われ、ベルリン国立美術館ではカタログ中に額縁の記事を載せたり、オクスフォードの世界初の大学博物館として知られるアシュモーリアン博物館では額縁に関する連載記事を載せるなど額縁への取り組みが世界各国で熱心に行われるようになってきたと言われています。
さらに特筆すべきは、ミュンヘンのアルテ・ピナコーテ美術館では額縁に関する特別展示に向けたカタログの中で額縁の材質構造についての分析調査結果が載り、またオーストリアでは長年にわたり額縁の貴重な資料作りが続けられていたことは有名です。